hoge hoge hoge hoge
─初日舞台挨拶─
吉田友厚(主役・船大工)× 水本博之(監督)

水本博之(監督)
今日はどうもありがとうございます、監督の水本博之と申します。

吉田友厚(主役・船大工)
吉田友厚と申します、はじめまして。
マスクつけたまま話します?


水本博之(監督)
外していいですか?
…駄目みたいです。

〈場内、笑い〉


水本博之(監督)
この映画、今日から東京で公開させていただいています。
この作品では吉田さんのことを見ていただきました。

私は『縄文号とパクール号の航海』という、丸木舟を作ってインドネシアから日本まで航海するというドキュメンタリー映画を7年前につくりました。この劇場から初公開させていただいています。8月末も上映したんですけれども、その映画の関係で船をつくっている吉田さんを紹介されました。撮っているうちに久宇良の人々がとても魅力的だな、と気づき作品が生まれました。


吉田友厚(主役・船大工)
そうですね、何から話そうかな…
監督の作った作品、どうでした?面白かったですか?

〈場内、拍手〉


水本博之(監督)
ありがとうございます。


吉田友厚(主役・船大工)
ちなみに石垣島の久宇良に来たことある方は手を挙げてもらえますか?

〈場内、挙手多数〉


水本博之(監督)
多いですね〈笑〉


吉田友厚(主役・船大工)
皆さん、ありがとうございます。

僕はこのように映画になるというのは人生で初めてなんですけれども、自分の好きな集落で、自分のことを想ってくれる人たちが元気なときに監督が描写して表現してくれた。これが残っていくということに、すごく嬉しくてすごく感謝しています。

劇中ではみんなに見守られてるなあ、と思っていましたが、今日こうやって劇場に足を運んでくれた皆さまにも見守られているんだなあ、と思うと倍くらい嬉しくなっています。

…とまあ、あまり感動ばかり伝えても面白くないんでね〈笑〉


水本博之(監督)
〈笑〉
わたしは前作で木の船で旅をする映画を作ったのでテーマが似ていることもあって今回も撮り始めているわけですけど、最初は映画にするつもりはなかったですね。吉田さんを主役にして。

船をつくる人、移住者として珍しいけれど、それだけで映画になるとは思っていない。吉田さんはこれからも20年、30年あの場所で船をつくるだろうから今撮る必要もないわけです。撮るとしたらあと何年もかけて、っていう話だと思うんですけど。

わたしが今回映画にしようと思ったのは、やはりあの集落の茂正さんとか、末和さんとか、信彦さん。そのような集落の先輩との関係性ですね。なによりも関係性が輝いて見えるというか。

UFO見る時もそうですが、みんなで星を見ることとか、─ないですよね?東京にいたら。
星だって月だって、普通一緒に観る人なんていないじゃないですか、やっぱり東京は。それをみんなで見るっていうことは、やっぱり魅力的だし、稀有なことだと思うんですね。

やっぱり先輩方は、だんだん歳をとっていって世代交代していくわけですけども、今しか撮れない。今この瞬間しか作れない映画だなとおもって、本気出しました。

なので、船大工の人の映画なんですけども、それだけじゃない。そこを起点にして集落のことを見ていく。ある種、現代に求められている話になるかなと。
移住の話はいまたくさんありますけど、一つのモデルケース、理想形なのかなと思っています。


吉田友厚(主役・船大工)
そうですね。
僕自身、本当にいろんなことがあったんで一言に移住って言ってもなんか…
でも開拓移民の先輩たちも本当にいろんなことがあって。

結局、人間と人間の付き合いの中で相手をどうやって許容していくかという部分が、僕らの集落ではオープンなところがあるんですね。隣の集落なんかだと、お酒飲んだ時に相手のことを見て、攻撃して、喧嘩になって。とかよくあるんですよね。

だけど、私たちは外に目が向いちゃってる。

例えば沖縄の人たちは台風が来た時に、そちらに目が向くんですね。お互いに人と人を見るより、台風が終わった後に「お前のところ大丈夫だったか?」とか。そんな人間力というか、人と人との付き合い方がうまくできていて。

特に久宇良は、僕はよく宣伝しているんですけども〈宇宙に一番近い集落〉という言い方しているんです。お互いの悪いところ見て粗を探すより、空を見てきれいな話とか、もう少し飛んでる話をした方がいい。

それで、監督も面白いですよね~って。


水本博之(監督)
それが一番面白いですよね。
大変なことはたくさんあると思うんですよね。行事の回数は多いし、集まることも多い。


吉田友厚(主役・船大工)
そうですね、大変だからこそそういう生き方を選択したほうがいい

はじめてUFOおじさんと監督が一緒に座って飲んだ時、水源地清掃の時だったかな。“ぶがりなおし”っていうんですけど、打ち上げをやるんですね。

その時にUFOおじさんは恥ずかしがり屋なので「撮られるのは好きじゃないけどな」ていうんですね。

でもいつもよりも、UFOおじさんのパフォーマンスがすごくて。
監督もこっそりカメラを回していて。それこそ一時間くらいずーっと。それ一本で映画になってもおかしくないような。

だから、監督は人物描写がキメが細かい。
アニメーションの作家さんでもあるんで魂を吹き込むというか、もともとある魂を描くというか。

僕のことじゃなくても、皆さんでも、監督が撮ったら映画になると思うんですよ。


水本博之(監督)
〈笑〉

吉田友厚(主役・船大工)
そういう凄味みたいなのを感じていて、映画監督ってすごいなあ。
って思っているんですよ、いつも。


水本博之(監督)
〈笑〉

はい、ありがとうございます。
時間かかるんですけどね、映画作るの。


吉田友厚(主役・船大工)
まあまあ、すごい大変ですよね。


水本博之(監督)
…ちょっと質問したい人いますか。


質問
映画で切った木でまた丸木舟を作るんですか?


吉田友厚(主役・船大工)
そう、劇中で倒した木で丸木舟を作り始めているところなんですね。
クラウドファンディングで出資を募っています。リターンの中に丸木舟に乗れるというのもありますし、ぜひ丸木舟プロジェクトで検索してみてください。

できればUFOおじさんと丸木舟に乗って〈丸木舟とUFOツアー〉というのもやっていきたいな、と思っています。


水本博之(監督)
僕それ訊こうと思っていたんですけど、海で光ぱちぱちやったら“ダツ”が飛んでくるじゃないですか?


吉田友厚(主役・船大工)
〈笑〉
ああ、ダツといって海に光を当てたら飛んでくる魚がいるんですけど、海面へ真横に光を向けたら危ないけど、空に向けて光を当てるんで。大丈夫だと思います。

夏の静かな新月の夜に、丸木舟を浮かべてゆっくりUFOを眺めて世界観を味わうツアーを検討しています。


質問
─久宇良に宿泊施設は?

y
ありますよ。

監督は製作の後半は編集もあるので近所の宿をとって過ごしていましたけど、最初はテントでしたね。


水本博之(監督)
あの、お金ないんで〈笑〉

簡易水道が吉田家の庭にあるんですけど、いくら使ってもいい水で。
そこにテントを張らせてもらって2週間。夜は誰もいないですから裸になって外で水浴びして。
そういう生活をしていました。


吉田友厚(主役・船大工)
タフな監督だと思います。


水本博之(監督)
そろそろ時間ですね。

この映画、今日からはじまって2週ほどやらせていただくことになります。
もしよろしければ、周囲の方々にこの映画の魅力を伝えていただけると嬉しいです。
ミニシアターの映画ですので、皆さんの口コミが映画の力になっていきます。
よろしくお願いします。

今日はありがとうございました。



上映後はサイン会。公式パンフレットも大好評です。

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